緑内障は、眼球の中の圧力(眼圧)が高くなり、視神経が圧迫されて障害を起こし、その視神経が担当している視野から欠けてくる病気と考えられてきましたが、近年の研究で日本人は眼圧が正常範囲内であっても、緑内障を起こすことが多いと判明しています。自覚症状はほとんどないため、早期発見が何よりも重要なのです。

緑内障の90%の方は、治療を受けていません。

日本人の緑内障で一番多いのは、「正常眼圧緑内障」で、緑内障全体の70%! 40歳以上の日本人の17人に1人(5.8%)、465万人いると想定されています。痛みなどの自覚症状が乏しく進行も遅いため、発見が難しく正しく診断されて治療を受けている方は、10%ほどだと言われています。

眼圧って何ですか?

簡単に言えば、眼圧とは「 目の硬さ」のことです。風船やボー ルが、空気が詰まって丸い形を作っているように、眼球の中を循環する房水によって、一定の圧力を保っています。この房水による眼球内の圧力を「眼圧」と言います。

眼圧が正常なのに、なぜ見えなくなるのですか?

「正常」とは、統計学の用語で、「 96%の人がそこに属する範囲を正常」と呼びます。「正常=病気ではない」と考えがちですが、単に統計学での用語なのです。眼圧の値は、mmHgという単位で表し、中央値は15mmHgで、96%の方が10~20mmHgに入るので、その範囲を「正常眼圧」と呼んでいます。つまり正常眼圧で緑内障になっている人もいれば、20mmHg以上の高眼圧なのに、緑内障ではない方もおられるということです。

緑内障で一番有効な治療は、「眼圧を下げ、進行を遅らせる」ことです。

問題なのは、現在の医学では、一度失った視野を回復させる方法はないことと、見つかった時点で完全に進行を止める方法もないことです。ただ、点眼などによって眼圧を下げる等の方法で、「病気の進行を遅らせることは可能」です。「正常眼圧緑内障」も、眼圧を下げることで、進行を遅くすることができることは知られています。

「40歳過ぎたら何の自覚がなくとも眼科受診されることをお勧めします」

当院で正常眼圧緑内障の治療を受けている患者さんは、
(1) 他の眼病(結膜炎)などで受診された。
(2) 健康診断や人間ドックなどの眼圧検査や眼底カメラで緑内障を疑われ、紹介されて受診された。ほとんどの方が、このどちらかです。
ある意味、偶然に発見されての治療開始なのです。