ご報告|3

当院におけるプラセンタ注射治療・2018

くまがい眼科通信・新春号(第16号)で当院のプラセンタ治療の効果について種々の疾患別に触れました。その中で、「肩・首の痛み」については、「即効性もあり、明らかな改善を自覚できる場合が多い」と記載しましたが、その後「肩こりが完治した」と思われる方が現れました。

これまで、肩こり・首の痛みについては、私自身も悩んでいることから、興味を持って研究してきました。葛根湯を主成分とした“感冒散”(私が東洋医学を師事した、故・谷美智男先生が考案された漢方のレシピ)も効果がありますし、肩・首の痛みのツボである肩井(けんせい)や天柱(てんちゅう)などへの鍼治療も効果があることはわかっていましたから、プラセンタ液をこれらのツボに注射すれば、より効くだろうという予想はありました。しかし私の実感としては、「どの治療であっても、軽減はしても『完治』は困難だろう」と思っていました。
しかし、今回67歳時から2週間に1度の割合で、3年間プラセンタのツボ注射を続けられ、肩と首のツボの硬結(こうけつ:柔らかい組織が、炎症やうっ血、充血などで硬くなっている部分)が消えた患者さんの症例を報告させていただきます。

緑内障視野障害の進行が早いため、通常の緑内障治療(点眼・内服など)に加えて、平成27年1月19日から眼の周囲と肩・首にプラセンタのツボ注射を始めたところ、半年間のうちに視野が改善してきたという驚きの結果だったのです。
学会発表後も2週間に一度の注射は続けられ、現在90回の注射を行っています。当初、-4.23だった右眼のMD値(緑内障視野の進行度を表す指標)が8ヶ月後(9/14)には-1.01にまで改善し、現在はさらに-0.78となっています。左眼も同時に改善傾向です。
肩こりについては、注射開始後36回目となる1年半後には、「肩井・天柱のツボの硬結がわかりにくくなっている」と記録していましたが、現在は硬結を触れないため、ツボを探すのが難しいという嬉しい悲鳴です。
A氏は、緑内障の治療のために、プラセンタのツボ注射を始めた方ですが、思いもよらず、肩こりが消失するという予期せぬ効果を得られました。肩こりが改善したことが緑内障の改善に繋がっていたのか?は、一例では断定できませんので、今後も例数を増やして検討したいと思っています。