医療機関ではどの科でも、患者さんの病状の悪化が問題となっています。コロナ感染を恐れ、外出を自粛され運動不足で骨折、内服を中断した結果起こる生活習慣病の悪化など。眼科でも同様です。当院では、「薬のみ処方する」「受診間隔を3ヶ月にする」などで対処してきましたが、ずっと通院を中断されている方の中には、持病を著しく悪化させている方も出始めています。


症例| A氏・70代後半 緑内障・左眼視野

コロナが怖くて1年間治療を中断されていた方。来院された時は、視野が非常に悪化していましたが、ご本人の自覚はありませんでした。視野図の黒いところは見えていない部分で、灰色は見えづらくなっている部分です。
黒い部分が広がっていることがわかると思います。右は、13年後の予想図。


少し専門的な話になりますが、MD値(病気の進み具合を表す数字。
単位はdB:デジベル)が、-2.52から-4.72に悪化しています。
1年間に約2.2dBの悪化です。一般的に、1年間に0.5dB以下に進行を止めるように言われているものであり、この悪化のスピードは、13年後に視野がゼロになる=「失明」ということを意味し、このまま放置すれば、取り返しのつかない恐ろしいことになります。
これでは、コロナにワクチンや治療薬が出来て、怖くない病気になる頃に、見え方が悪いのを耐えなければならなくなってしまいます。


●今後も規制が緩めば感染者が増えることは続いて、第4波・第5波・・・も起こるかもしれません。
賢く闘わなければなりません。どうしたらよいのでしょう?

私は感染状況をにらみつつ、「3ヶ月に1回は通院されること」を、提案したいと思います。

特に以下の場合は、悪化した分を後の治療で取り返すことのできない疾患なので、受診は必須だと思います。

●緑内障
●眼底疾患:加齢黄斑変性・糖尿病網膜症など
●小児の視力障害:特に、弱視治療中
●2~3日様子をみても改善しない症状の場合。
それが充血や痛みや目脂(めやに)の場合でも見え方に異常があるときは必ずご相談ください。