小学校高学年の子どもに多い原因がはっきりしない視力障害。
0.4~0.6などの比較的軽い視力低下を示すことが多く、学校の定期健診などでみつかります。

ストレスが胃にあらわれて、胃かいようになることがありますが、目にもストレスが影響することがあります。

多くの患者さんを診ていると、心と身体の不思議なつながりを感じることがあります。目に見える症状だけでなく、患者さんの「心の痛み」が「病気」という形で透けて見えることがあります。わかりやすい病気の一例としては

「心因性視力障害」があげられ、『目の心身症』とも呼ばれています。

これは小さなお子さんの「視力が出ない病気」であるため、両親の不安も少なくないものです。しかし、小さなお子さんで「視力が出ない」原因の多くは、単なる屈折異常(近視、遠視、乱視など)や弱視などです。

 

弱視

人間の視力は、生まれて直ぐからよく見えている訳ではありません。徐々に発達して2~3歳頃に正常視力(1.0以上)を獲得すると言われています。その成長が途中で止まったものが弱視です。眼鏡などで 矯正しても視力が出ません。その原因としては、屈折異常の程度が非常に強いため、眼底にボーッとした像しか結べず視力の発達を促すことが出来ない場合や、斜視があって片方の目をあまり使っていなかった場合などが考えられます。早期発見により、適切な眼鏡をかけたり、原因となっている斜視を手術するなどの対応を要します。

屈折異常

遠くを見たときにピントの合わない状態を屈折異常と呼びます。遠視、近視、乱視などが含まれます。屈折異常は、眼鏡またはコンタクトレンズで矯正すれば、正常視力(1.0以上の視力)が出るので、あまり心配はいりません。
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心因性視力障害

shininseishiryokusyougai上記の2つのケースが当てはまらない場合に考えなくてはならない病気です。私の知る限り、この病気に対しては「かくかくしかじかの治療をすれば大丈夫」と知られている治療法はないように思います。多くの眼科医にとって、苦手な病気とも言えるのではないかと思っています。しかし、最近では目という肉体の一部に、家族的・社会的な問題が現れることと考えるようになりました。お子さんの「視力が出ない」という症状が、家庭や学校での何らかの葛藤の現れではないか?ということです。本人もご家族も、その点については無自覚なことが多いので、ご一緒にじっくりと話をお聞きして、ひとりひとりに合った対策を提示すると、それだけで(投薬などせずに)視力が回復することも経験するようになりました。