ボトックス治療について教えて下さい。
「ボトックス」という薬をご存知ですか?

ご存じの方も、美容領域で用いられる「皺とりのための高価な治療薬」というイメージではないでしょうか。

「ボトツクス療法」とは、ボツリヌス菌(食中毒の原因菌)が作り出す天然の蛋白(ポッリヌストキシン)を、痘攣する筋肉内に注射してそれを止めようとする治療法です。ポッリヌストキシンは筋肉を動かす命令を出す神経のつなぎ目(シナプスと呼びます)で働く神経伝達物質(アセチルコリン)の働きを弱めることで痙攣を抑えます。

こう闇かれると、「元々がバイ菌の作り出す毒素なので怖いな!」と心配になる方もおられるかもしれませんが大丈夫です。
極々薄めて人体に無害な濃度にしてあるからです。現在、頚性斜頚・上肢痙縮・下肢痙縮などに使われており、眼科領域でも、「眼瞼疲攣」「片側性顔面痙攣」は保険適用となっています。

眼科の「ボトックス治療」とはどのようなものですか?

眼輪筋(がんりんきん)内に非常に細い注射針でボトックス治療薬を数箇所注入します。
要する時間はおよそ10分くらいです。
1~2週後から効果が現れ始め、3~4ケ月くらい持続するので、年に3~4回行うだけで快適な状況を保つことのできる画期的な治療法です。

当院でも、この治療によって痙攣が止まっただけでなく、元の柔和な表情に戻られ喜んでいただいた患者さんもおられます。

おばあちゃんを連れてこられたお孫さんから、「外出を余りしたがらなかったおばあちゃんが明るくなって、お買物に自分から行くようになった」と歓びのお声をいただいたこともございます。
医者として本当に嬉しい瞬間でした。

●ポトックス療法は、講習を受けて合格した医師のみに認められています。
●当院では院長の熊谷がその認定を受けています。
●費用  保険が適用されます。3割負担の方なら1万5千円、
      1割負担の方なら、5千円ほどの薬剤代金となります。
●ご注意 重症筋無力症という病気や妊娠中の方には使用できません。